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2019-05-25

【セデック族の故事】紋面のはじまり「賽徳克故事」

こんにちは!

久々の更新となってしまいました。「台湾エスニック雑貨店」店長です。

先日、図書館で原住民の物語を見つけました。特に絵本コーナーで、親から子へと受け継がれる神話をよく見かけるのですが、今回は、セデック族の顔の刺青「紋面」にまつわるお話です。

セデック族とは…

賽徳克族(セデック族)は、南投や花蓮に居住している民族です。以前は、泰雅族(タイヤル族)と同じ位置づけにありましたが、10年ほど前に政府から、ひとつの民族として認定を受けました。

セデック族といえば、数年前に台湾で話題となった「セデック・バレ」という映画を、ご存知の方も多いかもしれません。この映画は、1930年の台湾で、実際に起こった「霧社事件」のお話です。セデック族による抗日蜂起がテーマで、たくさんの死傷者が出るという重い内容ではありますが、日本人として絶対に知っておくべき事件ではないかなと思います。

「紋面」にまつわるこんなお話

セデック族には、タイヤル族やタロコ族同様、古くから「紋面」の文化がありました。「紋面」とは、顔に施す刺青のことですが、台湾のみならず、世界中の民族で見られる文化ですよね。セデック族の場合は、男性は狩りの能力が認められると、額と顎に紋面が施され、女性は機織りができ、一人前の女性と認められると頬に紋面が施され、結婚が許されるそうです。

ですが、この紋面文化は、日本統治時代に禁止されて以来、姿を消しつつあります。現在、台湾で紋面を保有している人は、たった2人となってしまったというニュースを以前見ました。

「賽徳克故事」おおまかにこんな話

「賽徳克故事」は、むかしむかし、そのまたむかしから始まります。

人々の食事は大変質素なもので、動物たちは人を恐れず、背負い籠や薪は自ら仕事をする…そんな暮らしでした。

ところが、人々は背負い籠にいたずらをしたり、動物に殺生するようになります。

神様は、人類への罰として、ふたつの太陽で大地を照らしたり、大雨を降らせたりします。ついには鳥となって表れ、人々に掟を作るよう導きます。

そして、男性は敵と勇敢に戦ったり狩猟ができるようになると、額と顎に紋面を施す、女性は機織りや家事ができるようになたら、頬と額に紋面を施すという掟ができました。紋面のある人は大人と認められ、結婚が許されます。そして死後、虹の橋を渡り先祖に合うことができ、真のセデック族となれるのです。

…と、こんなお話です。

セデック族にとって、紋面はとっても名誉なことなんですね。

刺青に対するイメージは、住んでいる環境や時代によって、さまざまだと思うのですが、「個人のアイデンティティを証明するアート」という役割は、いつでも、そしてどこでも変わらないのかな…と思います。

興味のある方は、ぜひ本を探してみてくださいね。

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