【エスニック好きの夜更かし本】CCC創作集 Vol.14
こんにちは!
「台湾エスニック雑貨店」店長です。
ちょっと前に、久々に本屋さんで本を注文しました。注文してまでほしかった本というのは、パイワン族の女の子が表紙に描かれた「CCC創作集」の14号です。このシリーズは、台湾の歴史や文化をテーマとしたコミック雑誌で、楽しみながら台湾文化を学べるとともに、中国語の勉強にもなる一冊です。
今回は、原住民文化にもスポットが当てられている「CCC創作集」14号について、内容をちょこっとご紹介したいと思います。
コンテンツ
タイワニーズ漫画!!CCC創作集とは?
CCC(Creative Comic Collection)創作集は、2009年に創刊し、途中休刊期間を経て復刊したコミック雑誌です。掲載される数作品の漫画は、台湾の歴史や文化がテーマとなっているのが特徴で、読み切り作品もあれば連載作品もあります。漫画を通して、より台湾を知ることのできる本であり、台湾の新鋭漫画家の発掘の場としても知られている雑誌です。
ひと目ぼれの表紙
今回、ご紹介する14号のテーマは、創造異文化。
表紙を飾る女の子の衣装には、百歩蛇や人頭、壺などの刺繡が施されています。もし、噛まれてしまったら、百歩も歩かないうちに死に至ると言われる猛毒蛇、百歩蛇はパイワン族の先祖と崇められる蛇で、頭目の権威の象徴でもあります。
そして、頭飾りを持っている手に施された刺青も、百歩蛇の模様を示す、連続した菱形と三角紋が見られます。これも、古くは頭目家のみに限られた刺青だったそうです。
この表紙を見た瞬間にひと目ぼれした店長は、すぐに本屋さんへ向かいました。
この表紙を描いたのは、日本でも有名な蚩尤(しゆう)さん。少し前に話題となった「制服至上」という、台湾の女子高生を描いたイラスト集は、日本語版も出版されています。同じく最近日本語版が出版され、話題となった「台北歴史地図散歩」のカバーイラストも担当されています。
本誌の中では、現代的な要素を取り入れた神明衣(神様のお召し物)を、身にまとう神様という、異色なテーマでも蚩尤さんの作品が載っています。
気になる内容は…というと?
全体の8割ぐらいが漫画になっていて、その他のページは、今回のテーマ「創造異文化」に沿ったイラストや説明になっています。
この中には、日本人漫画家の森薫さんを紹介するページもあります。誰でもいちどは見たことがあるであろう、森薫さんの代表作である「エマ(中国語では艾瑪)」と「乙嫁語り(中国語では姊嫁物語)」の紹介とともに、インタビューも掲載されています。どちらの物語も、外国が舞台で時代背景が昔の設定になっているのですが、建物や衣装のディテールがものすごいです。店長は、以前マンガ喫茶で読んだことがあったのですが、中国語に挫折してしまったので、勉強のためにも再挑戦したいなと改めて思いました。
また本誌では、「田野(フィールドワーク)」にも、触れています。調査対象となる人々と生活を共にして、研究するフィールドワークは、店長は前々からずっとどうやってやるんだろう…と疑問に思っていた分野です。
写真展やドキュメンタリー映画などでも、生活を共にせずには撮れないであろうひとコマってありますよね?フィールドワークというものは、その研究量にもよりますが、研究者のみが行うことではないんだろうな…というのは、漠然と思っていました。「郷」に入ってしまえば、こっちのもんだと思うのですが、その「郷」に入るまでが、根気のいる作業だろうなと思うし、興味のあるところです。
ちょうど、去年の年末、台南の国立歴史博物館で行われていた伊能嘉矩展へ行ってきたことを思い出しました。伊能嘉矩氏といえば、台湾原住民研究の先駆者です。
今でこそ、先人たちによる情報や、意思疎通、情報収集ツールがあり開けたものとなりましたが、情報が何もできない状態で、初めて赴く当時のフィールドワークといったら、相当骨の折れる作業なんだろうな…と思います。それと同時に、自分の人生をささげるほど熱中できるものがあるなんて、うらやましいなとも思いました。
メインのマンガは、スラスラと読み終わりました。
漫画は、漫画喫茶で借りて時々読んだりしていますが、よく考えてみると、漫画の雑誌を読むのが、子どもの頃の「りぼん」「なかよし」「少年ジャンプ」「少年ガンガン」以来なかったので、とても新鮮に思えたし、やっぱり紙の世代なんだと再確認しました。
どの作品も、すっと引き込まれましたが、特に羌族(チャン族)について、もっと知りたいと思う機会をもらいました。
漫画好きのみならず、台湾の文化や、少数民族に興味がある人にも「CCC創作集」はおすすめですよ。