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2020-04-29

保存食をあやつるエスニックグループ「客家人」の病みつきごはん

こんにちは!
「台湾エスニック雑貨店」店長です。

いつもは、台湾原住民にまつわるお話を紹介している当ブログですが、今回は原住民とは違うルーツを持つエスニックグループである客家(ハッカ)人についてと、いちど食べるとやみつきになる客家料理について書こうと思います。客家文化の根付く街、高雄は美濃という山間の街を訪れました。

客家人とは?そして美濃とは?

台湾は九州ほどの大きさながら、違ったルーツを持ついろいろな民族が暮らしています。広東省の梅県がルーツと言われる客家(ハッカ)人は、中国大陸で移民を繰り返し、タイやマレーシアなどにも分派していったそうです。台湾に渡ってきたのは、明朝末期から清朝初期頃で、新竹や苗栗など台湾各地に集落があります。

もともと台湾で暮らしていた、原住民やホーロー人との摩擦を避けるため、山間部など開墾の難しい土地での生活を余儀なくされたことから、客家人は我慢強く働き者気質の人が多いと言われています。また、勤勉で倹約家であることでも知られていて、日本では「年上の女房は金のわらじを履いてでも探せ」ということわざがありますが、台湾では働き者で倹約家である客家人のお嫁さんをもらうことは、いいことだとされています。ただ逆に客家人の旦那さんと結婚すると、客家人でないお嫁さんは怠け者のように思えてしまったりするのでうまくいかない…そんな噂もあったりします。

高雄の郊外に位置する美濃も、台湾にある客家文化の根付く集落のひとつ。独自の文化や言語を持つ客家人ですが、言語は北部の客家人とも少し違うそうです。山間にあるの風光明媚な街である美濃は、人口の約9割を客家人が占めています。「美濃民俗村」という美濃文化を楽しめるテーマパークがありますが、そのほかはあまり観光地化されていません。高雄の中心部からは、バスで約1時間ほどでアクセスできます。流しのタクシーはほとんど走っていないので、バス停横でレンタルすることができる自転車が、広いエリアを回る場合の交通手段となります。

客家と言えば客家花布。そして移民の知恵がいっぱいつまた客家料理

客家といえば、パッと咲いた大きな牡丹が印象的な客家花布を想像される方も多いかもしれません。お店の看板や民家の庭先など、街のいたるところでこの色鮮やかな柄を見かけます。客家花布の雑貨も追々紹介していきたいところですが、今回は日本人ならばきっと誰でも病みつきになるであろう、客家料理をいくつかご紹介したいと思います。

客家人にとって、食事は過酷な労働に耐えるための重要な栄養源。ごはんがすすむようしょっぱい味付けの料理が多く、移民の暮らしで必需品となる保存食を多く取り入れているのが特徴です。そしてなによりもおいしい!いくつかの代表的な客家料理をご紹介します。

粄條(バンティアオ)

まずは、客家料理の代表格となっている粄條。ベトナムのフォーをもうちょっと平べったくしたような麺料理です。美濃の美興街という通りには、この粄條のお店が何軒かあり「粄條街」とも呼ばれてます。どのお店もスープあり、なしが選べますが、店長としましてはスープありがおすすめです。あっさりとしていてとてもおいしいです。

客家小炒(クァージャーシャオチャオ)

お次は、客家小炒という炒めもの。イカやブタ肉、セロリや干し豆腐など食感の異なるいろいろな具材をさっと炒めた定番おかずです。醤油の味付けで、これだけでもごはん数杯いけそうです。メニュー選びに困ったときは、とりあえず客家小炒をたのんでみることをおすすめします。

炒水蓮(チャオスェイリェン)

こちらは、日本ではあまりお目にかかることのできない水蓮という野菜の炒めもの。水蓮は、沼地に生息するちょっと変わった長~い野菜です。美濃のご当地野菜ですが、台湾各地のスーパーや市場でも手に入ります。ショウガやニンニクと一緒に炒めるのが一般的で、もやしのようなシャキシャキとした食感が楽しめます。

高麗菜封(ガオリンツァイフォン)

キャベツを丸ごとスープで煮込んだ高麗菜封も、客家料理のレストランによくあるメニューです。醤油ベースなので日本人の口にもよく合い、スッとお箸がはいるほど柔らかく煮込まれています。野菜をたっぷり摂りたいときにもってこいの一品です。

薑絲炒大腸(ジャンスーチャオダーツァン)

店長のいちおしで、ぜひとも食べてほしいのがこの薑絲炒大腸。これは読んで字のごとく(ブタの)大腸を大量の薑(ショウガ)で炒めたもので、お酢も入ってさっぱりとしています。ショウガがものすごくきいているので、モツの臭みが苦手という人もおそらく大丈夫だと思います。ごはんによく合いますが、お酒のおつまみにもよさそうです。

食べる健康茶、擂茶(レイツァー)もお忘れなく

客家料理を堪能した後は、客家に伝わる食べる健康茶「擂茶」もお忘れなく!擂茶は、ゴマや玄米などの穀物をすり鉢で擂(す)っていただく、食べる健康茶です。かつては日常的に飲まれていたもので、栄養豊富で美容にも効果があるのだとか!美濃には、この擂茶を楽しめるお店がいくつかあります。

穀物を擂ってお湯を注ぎ飲む…ただこれだけの作業なのですが、これがなかなか時間がかかります。普段あまりすり鉢をスリスリすることがないので、じっとり汗をかきながら作業をし、やっと完成!おしゃべりとお茶請けも楽しみながら、のんびり楽しむことができるので、ぜひ挑戦してみてくさいね。

美濃へのアクセス方法

美濃へは、新幹線(高鐵)の南部終点駅である左營駅から、バスでアクセスするのが一般的です。新幹線の左營駅は、在来線(台鐵)の新左營駅とMRT(捷運)左營駅に直結しています。新幹線側にある出口を出たところにあるバス乗り場の、6番バス停から旗美快捷(E01B)バスに乗車し、終点の美濃バス停にて下車します。時間は約1時間ほどで到着します。

ただ前述したように、美濃の街は交通があまり便利ではないので、高雄中心部で、タクシーチャーターの交渉をするのもひとつの手です。タクシーチャーターは、一般的な大きさのタクシーを約8時間チャーターすると、3500元くらいが相場になります。

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